大井 私もあるんですがね。
9月6日の御前会議の前にね、いわゆる連絡会議やったですね。
そして午前11時から午後の6時まで延々7時間にわたって話をしたことが。
及川(古志郎・兵31)さんが提言をしたために非常に議論が、非常に長引いた。
これ(三代原稿)はね、あれ見ているでしょうね、参謀本部の戦争指導課の日誌、『機密作戦日誌』、あの種村(佐孝・士37)のやつ(『大本営機密日誌』1952年)、ダイヤモンド社から発行したやつじゃなくて本当の(当時未刊。1998年に『大本営陸軍部戦争指導班機密戦争日誌』〈全2巻〉大本営陸軍部戦争指導班著、錦正社で公刊)。
あれ(1952年刊)はデタラメと言ったら悪いけど大抵噓があったり何とかして、適当にやってるんだ。
そうじゃなくて本物があるんです、あのとき肉筆で書いたやつ。
これにね、このところのことが非常によく書いてある。
そしてね、これがその、実にあの、及川(古志郎・兵31)さん、私は及川(古志郎・兵31)さんを弁護する側なんですが、及川(古志郎・兵31)さんを弁護する私の一つの大きな理由なんです、これ。
三代 これは普通、種村(佐孝・士37)君のやつが採られていますわな。
大井 あれは、種村(佐孝・士37)が書いたか、原四郎(士44)が書いたか、誰が書いたか知りませんが、原文は。
しかしあの字はね、毛筆みたいなもので書いたのがあるんです。
三代 それ誰が書いたの。
大井 戦争指導課というんですかな。
三代 種村(佐孝・士37)もそのあれだな。
大井 おったんだけど、種村(佐孝・士37)が印刷(出版)したときには適当に直して、自分がその、戦争反対に、反対と言うと悪いけどね、戦争をやったのは参謀本部じゃないかと言われんように、そういうふうに思われんように直して書いているわけですよ、あれは。
直しているんです、非常に。
これ私も北部仏印進駐のとこ見ても、どこでもそうなんです。
非常に、あんなもの出してね、実に思想、戦史を混乱させていますよ。あんなもの出してやったから。
種村(佐孝・士37)が、ほれロシア(抑留)から帰ってきて、そうして急いで自分が書いたもんだから。
それをね、戦史室というかあの当時は。戦史室の中に取って置いて、そいつは誰も見せない。当時は誰にも見せなかった。
私が、そいつをあるところから手に入れた。
三代 最近になってね、井本(熊男・士37)とか、ああいうのが書いたのがあるよ。そういうやつには何も書いてねえかね。
大井 私は井本(熊男・士37)氏はどうか知らんけれども、井本(熊男・士37)氏はあのとき作戦課におったかな。
三代 井本(熊男・士37)君が我々と同じ時期にね、作戦課におったんだ。
大井 とにかくね、今のところはね、作戦というよりは戦争指導のところですね。だから戦争指導課で書いているわけですね。
三代 一課だ。
大井 一課のうちの戦争指導課のところで書いているわけ。その日記があるわけです。
三代 日記ね。さあ知らないな。
大井 『機密作戦日誌』、というのがあるんです。『大本営史』と。
これは見ている人おるでしょうな。
三代 何を見れば分かるかね。海軍あたりは採用しているのはね、種村(佐孝・士37)のやつを採っているのが多いんだよ。
大井 種村(佐孝・士37)、種村(佐孝・士37)が噓書いているから私、問題だと。
噓書いているというのがね、噓といっても大噓だと私は思うんですけれども、非常に直しているんです。
三代 貴様何で見たか。何で見た。
大井 それ見るというと、私に見せた人にちょっと具合悪いから。
見ているのはここの水交会長の内田(一臣・兵63)君は、もちろん中見ているでしょうね。あるいは野村(実・兵71)君だとか。そういう人は見ていますよ。あそこ(防衛研究所戦史室)で。
われわれ行ったって、金網張っているところに入ってあったし、これは見せられないんだと。これは絶対見せられない。
原四郎(士44)がそれを適当に使って、北部仏印進駐書くときにね、おかしいんですよ、違うんですよ、種村(佐孝・士37)が書いたものと。
種村(佐孝・士37)書いたのは、私の記憶とも違うし。
大噓だと思ったから、それ見せてくれと言ったところが、ここにあれがいるわ、末国(正雄・兵52)さん、同志だ。末国(正雄・兵52)大佐おられるわ。
そこでね、これは末国(正雄・兵52)さんおったら、なおさら私、見せた人言うわけいかんわな。あなたからだんだん伝えられて見せたということになると。私だってね、新聞記者じゃないけどスクープやりますよ、やっぱり。
三代 わしはね、とにかく種村(佐孝・士37)のやつしか知らんもんだから。
大井 それだからね、それだから私は。
三代 それであいつは何かやっているかもしれんなんて言うんで、あまりわしとしても信用してないんだ。
直接この参謀本部の連中とは話をしているからね、それで書いているんだよ。
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更新:11月22日 00:05