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海底ロマンと水軍の夢を求めて――長崎県松浦市

2018年03月23日 公開
2023年10月04日 更新

『歴史街道』編集部

 

 今津から再び高速道路に戻り、一路、松浦市の鷹島へ。

 高速道路が整備されていることもあり、鷹島へは本来、福岡空港から直接行けば、1時間40分ほどで到着する。

 昼少し前に、鷹島に到着。さらに雲行きは怪しくなってきたが、まずは腹ごしらえ。鷹島の北側、阿翁浦漁港にある「旅亭 吉乃や」にお邪魔する。

 あちらこちらに縮緬細工が飾られた店内は、昔懐かしい雰囲気を醸し出している。そしてメニューに目を通して、目を引かれたのが「おとこ飯」。

 漢字で書くと「魚来島(おとこ)」なのだそうだが、近くのお店と連携してルールを決めて、それぞれの刺身丼を出しているとか。早速、頼んでみる。


旅亭 吉乃やの「おとこ飯」

 丼いっぱいに盛られたさまざまな刺身は、新鮮そのもの。卵の黄身を溶いたゴマダレをかけて食べるのだが、これがホントに美味しい。

 腹ごしらえを終え、改装なったばかりの松浦市立埋蔵文化財センターへと向かう。


松浦市立埋蔵文化財センター

 埋蔵文化財センターには、鷹島付近の海底から発掘された、元寇に関する遺物が展示されている。

 元寇といえば、防塁のあった博多湾が舞台だと思っている方が多いかもしれないが、そこだけではないのである。

 再び来襲した元軍は博多湾に上陸しようとしたが、防塁に拠った鎌倉武士に阻まれ、この鷹島近海にとどまった。その数、4400艘。

 そこで“神風”が起こり、元軍は壊滅、その多くが海の藻屑となったという。

 なので、この付近の海底から出土するのは、元軍の船、木製の碇、兜、それから教科書でもお馴染みの、「蒙古襲来絵詞」に描かれた火薬を使った元軍の新兵器「てつはう」などなど。

 同センターでは、それらの遺物とともに、元軍がなぜ攻めてきたのか、それに鎌倉武士がどのように対処したのかについて、わかりやすく説明がなされている。

  隣接するのは、埋蔵文化財センターガイダンス施設。

 ここには、水中考古学によって発掘した遺物が展示されているだけでなく、VRで元寇を体感できたり、トリックアートの写真撮影も楽しめる。

 

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