宮本武蔵が自ら書いた『五輪書』の魅力とは? 『歴史街道』2月号では、プロ経営者・皆木和義さんに、お薦めの一冊について語って貰った。
※本稿は、『歴史街道』2025年2月号「私の一冊」より、内容を一部抜粋・編集したものです
『五輪書』 (岩波文庫) 宮本武蔵著、 渡辺一郎 校注
剣聖と称せられる宮本武蔵は、筆者の生家の隣町で育ったとされる。子供の頃からとても興味があり、数々の武蔵の小説や『五輪書』を読んで研究してきた。
本書は現代語の全訳のない校注の書籍だが、武蔵が自らの体験をベースに和文で書いているので、読んでいてわかりやすい。読むたびに原文から武蔵の思いや心が直接聞こえてくるような気がする。
平成15年(2003)には週刊『日経ビジネス』に半年間にわたって小説・宮本武蔵を連載させて頂いた。また早稲田大学の社会人講座などでも『五輪書』の講座を担当させて頂いた。
『五輪書』の魅力はありすぎて困るほどだ。仕事のヒントに溢れた「ビジネス書」、さらには不透明な激動の世界を強く生き抜くヒントに溢れた「人生の教科書」であり、相手の心理を読み、どう行動すればよいかを教えてくれる「心理学の教科書」ともいえる。平常心の持ち方、様々な状況に即した最高のパフォーマンスの発揮法など、枚挙に暇がない。
『五輪書』は諸外国で翻訳出版されて、グローバルでも人気を博している。その意味で、単なる日本の兵法書にとどまらない。中国には『孫子』、日本には武蔵の『五輪書』である。名著『五輪書』を現代の日本人も大いに活かして最高のパフォーマンスを発揮し、人生の成功を勝ち取ってもらいたい。