2025年02月10日 公開
建国から今日に至るまで、日本はもちろん、世界に多大な影響を与えてきたアメリカ。2025年1月には、トランプ大統領が誕生しますが、歴代の大統領をよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
そこで、近現代史を読み解く際の鍵となるアメリカ大統領について、8回に分けて紹介しましょう。7回目となる今回は、第35代大統領ジョン・F・ケネディを取り上げます。
ケネディ家は19世紀にアメリカへ渡ってきたアイルランド人移民でした。ケネディの父のジョセフ・ケネディは、インサイダー取引を伴うと思われる株売買で巨万の富を得て、様々な事業を展開します。
儲けた巨額の金をフランクリン・ルーズヴェルトに献金して、初代SEC(証券取引委員会)の委員長に抜擢され、また、駐イギリス大使にも就任します。
父の資金的なバックアップで、ケネディは若くして下院議員、上院議員に当選します。議員としてのケネディの実績はありませんでしたが、1956年、副大統領候補の予備選に立候補します。予備選には敗北しましたが、演説の名手として党内で名声を得ました。
1960年、ケネディは民主党大統領候補の予備選に出馬しました。トルーマンから、「君はまだ若すぎる」として、出馬を思いとどまるよう説得されましたが、ケネディの戦略は43歳の若さを売りにするというものでした。
民主党の予備選を勝ち抜いたケネディは、共和党のニクソンとの大統領候補者テレビ討論で、視聴者に好印象を与えることに成功し、大統領選挙に奇跡的に勝利します。
ケネディは1962年のキューバ危機に対応し、国内では、黒人が選挙権などを得るための公民権運動を支持し、人種差別問題の解決への道筋をつけました。しかし、1963年、南部遊説中にダラスで暗殺されました。
【宇山卓栄(うやま・たくえい)】
著述家。昭和50年(1975)、大阪府生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。代々木ゼミナール世界史科講師を務め、現在に至る。テレビ、ラジオ、雑誌など各メディアで、時事問題を歴史の視点でわかりやすく解説している。著書に『「民族」で読み解く世界史』『「宗教」で読み解く世界史』などがある。