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池波正太郎『雨の首ふり坂』が初映像化!主演俳優が語る「江戸のアウトロー」の美学

2018年07月18日 公開
2018年08月20日 更新

中村梅雀(俳優)インタビュー

中村梅雀主演、池波正太郎『雨の首ふり坂』
(C)2017時代劇専門チャンネル/J:COM/松竹
 

中村梅雀(俳優)
1955年、東京都生まれ。65年に「勧進帳」で初舞台を踏む。80年、2代目中村梅雀を襲名。出演作には、「八代将軍吉宗」(NHK)を含む大河ドラマ11作品のほか、連続テレビ小説「つばさ」、BS時代劇「伝七捕物帳」シリーズ(NHK)などがある。池波正太郎作品では、「鬼平犯科帳」「剣客商売スペシャル 道場破り」(フジテレビ系)、「鬼平外伝 夜兎の角右衛門」「闇の狩人(前・後篇)」(時代劇専門チャンネル制作)に出演。「信濃のコロンボ」(テレビ東京)、「赤かぶ検事」「釣り刑事」(TBS)などの人気テレビシリーズでは、主演を務めている。「うさぎドロップ」「坂道のアポロン」等、映画にも数多く出演。

池波正太郎の戯曲『雨の首ふり坂』が、時代劇専門チャンネル開局20周年記念作品として初映像化される。時代劇専門チャンネルと日本映画専門チャンネルで、7月21日夜7:30から同時放送、さらに、時代劇専門チャンネルでは翌22日昼1:00から再放送もされる。舞台は、江戸時代。池波作品にはめずらしい股旅ものだ。主人公は、一人の年老いた渡世人・白須賀の源七。主演の中村梅雀さんに、「江戸時代のアウトロー」の美学がつまった、本作の魅力をうかがった。
 

中村梅雀が語る本作の魅力

──主人公の“白須賀の源七”は、若いころから裏社会を歩み、殺しを請け負ってきた渡世人です。一度は堅気の世界に身を置くものの、運命から逃れられず、命を狙われるようになります。

「実は、時代劇でアウトローを演じるのは初めてなんです。ですから、いつもの演技とは違うアプローチが必要でした。源七は長年、血をかぶって生きている。そういった雰囲気を出せるように、表情筋をあまり動かさず笑顔も一切封印して、抑揚のない話し方を心がけたんです。

源七が着ている合羽には、監督のこだわりが反映されていて、血と埃にまみれて何か嫌なものが宿っているような、使い古した感じを出しています。私の提案で、汚れを追加したり……。その分、重くなって動きにくかったですが。

しかも作中は題名の通り、雨が降っているシーンが多いので、合羽は水を吸ってさらに重くなる。これがまるで、源七が背負っている怨念の重さを表わしているような気がしました。

そんなこともあって、いつもは現場でスタッフと談笑して場を和ませたりすることもあるのですが、今回はあまり口をきかないように気を付けていましたね。

それと、役柄的に痩せた方がいいだろうと考えていたのですが、撮影前に少し体調を崩して体重が減ったので、ちょうど良かったです(笑)。また、体が万全でなかったおかげで、源七のどうしようもない暗さを醸し出せたのも、怪我の功名でした。

ただ、あまりにも源七とシンクロしすぎて、撮影期間中は、夜、寝ているときにずっと歯ぎしりをしていたそうです。やはり、ストレスをだいぶ溜めこんでいたのかもしれません」

──全編を通して、源七のセリフが少ないことも印象的でした。

「最近の映画やドラマは、わかりやすさを求めるあまり、何もかもセリフで説明しすぎている気がします。

説明せず、想像させるのが時代劇の本来の味。今回のドラマは、原点回帰として、余計な説明はしない演出になっています。源七だけでなく全体的にセリフは最小限に、間合いや、ほんの少しの動きで表現することに努めました。そうしていると、一挙手一投足に緊張感が生まれてきて、非常にやりがいを感じることができました」

──原点回帰ということですが、まったく古さを感じませんでした。

「この作品では、空間をもたせる映像や、照明の当て方なども工夫されています。フランスのギャング映画のような、ひと味違う時代劇を目指したわけです。

また、セリフも少なかったですが、殺陣における動きも抑えているんです。

余計な動きは入れず、重心がぶれないよう徹底し、ピタッと止まってズバッと斬ることで、本当に斬っているように見せる。

殺陣師の方曰く、『今回は手数を少なくします』ということでした。寸前まで避けずに、ギリギリのところでいかに相手を斬るか、ということを意識しましたね」

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