2023年08月24日 公開
龍城神社(右)と岡崎城
徳川家康を語るうえで欠かせない場所──といえば、やはり生誕の地である愛知県岡崎市だろう。市内にはゆかりの地が数多くあり、「ありし日の家康」に触れられるのだ。歴史街道編集部が現地に伝わる逸話とともに案内しよう。
岡崎城内に展示された岡崎城の城郭模型
徳川家康が誕生した天文11年(1542)12月26日の朝、岡崎城のうえに、金の龍が姿を現わした──。
その伝承が残るのが、岡崎公園内に鎮座する龍城神社だ。公園は市の中心部に位置し、名鉄・東岡崎駅からは徒歩15分ほど。
もともと宝徳4年(1452)、三河守護代の西郷稠頼がこの地に城を築こうとした際、城の井戸から龍神が現われたと伝わり、岡崎城は別名、龍ケ城と称されるという。龍城神社の西側には、龍が出現した「龍の井」がある。
この神社は、家康とともに、岡崎藩主の先祖である本多忠勝を御祭神として祀っており、拝殿で拝むと、名将二人に見守ってもらえるようで心強い。
龍城神社のある岡崎公園は、岡崎城跡を公園にしたもので、家康の産湯に用いられたという東照公産湯の井戸や、家康のえな(へその緒)を埋めた東照公えな塚など、多くの見どころがある。
神社の西隣りには、岡崎城が偉容を誇り、城内では岡崎の歴史にまつわる展示が観賞できる。
また公園内北側には、「どうする家康」岡崎 大河ドラマ館もある。「どうする家康」の映像だけでなく、撮影に用いられた衣装や小道具、出演者の等身大パネルが展示されていて、その世界観に浸れる。
公園から歩いて20分ほど、東岡崎駅からは徒歩5分ほどの地にある六所神社も、家康生誕にまつわる地だ。家康が生まれた時には、産土神としての拝礼を受けた。
朱色の華麗な社殿は三代将軍・徳川家光の命で改築されたもので、徳川家から篤く崇敬されていたことが伝わってくる。
六所神社
岡崎城で産声を上げた家康は、どんな幼少期を送ったのだろうか。その一端が垣間見えるのが、法蔵寺だ。寺は東岡崎駅から急行で10分の本宿駅で降り、そこから歩いて6分ほど。
家康は幼少のころこの地で手習いをし、寺の住職だった叔父から漢籍を学んだという。寺の入口には、家康が手習いの草紙をかけたと伝わる御草紙掛松があり、寺には文机や直筆の草紙などゆかりの品も伝わっている(通常非公開)。風情のある境内を歩いていると、幼い家康が、学問に励む姿が思い浮かぶようだ。
法蔵寺境内
更新:11月21日 00:05