2022年07月25日 公開
2023年01月01日 更新
あまたいる戦国武将のなかから、各都道府県で一人ずつを選び、短編小説に――。
くじ引きの結果、第35回は、どこの県の誰なのか。
執筆者は、今年1月、『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞!「くらまし屋稼業」シリーズが人気で、『八本目の槍』も「週刊朝日」の歴史・時代小説ベスト10で第1位を獲得、『じんかん』が山田風太郎賞を受賞、「羽州ぼろ鳶組」シリーズが第6回吉川英治文庫賞を受賞するなど、いま最も勢いのある若手歴史小説家・今村翔吾先生です。
この動画は、第35回のくじ引きを撮影したものです。
栃木県は、かつての下野国にあたります。
戦国時代の下野国には、源平時代に弓で名を馳せた那須与一の子孫である那須氏や、上杉・北条の狭間でしぶとく戦い続けた佐野氏、そして、県庁所在地としてその名を遺す宇都宮氏などが割拠していました。
宇都宮氏は、永承6年(1051)から始まる前九年の役のときに、摂関家藤原北家の流れをくむ藤原宗円が下野国に下向し、下野国一宮である宇都宮(二荒山神社)の座主となったことに始まるといわれています。
一族は座主を世襲し、下野国中央部に勢力を張り続けました。しかし時代を追うごとに、徐々に衰退していきました。
天文18年(1549)、第20代当主・宇都宮尚綱が那須氏との戦で討たれ、その子・広綱が家督を継ぎますが、家臣・壬生綱房に城を奪われ、ついに下剋上されてしまいます。
家臣の芳賀高定に伴われて逃亡した広綱は、その後、宇都宮城を奪還。
広綱は、越後の上杉謙信や、常陸の佐竹氏らと同盟を結び、関東制覇を目指す小田原北条氏に対抗しようとしました。
しかし天正4年(1576)、広綱は32歳の若さで死去。家督を継いだ国綱が幼少であったことから、下野国内は乱れ、北条氏の侵攻が相次ぎました――。
佐竹氏や甲斐の武田氏などと手を結びながら、宇都宮家が陥った困難を乗り越えようとする国綱を、その家臣・大門弥二郎の目線から描いた連載第35回は、7月6日(水)発売の「歴史街道」8月号に掲載されています。
更新:11月21日 00:05