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北斎や国芳の妖怪が躍動!「動き出す妖怪展 TOKYO」レポ “イマーシブ”な異世界への没入感がすごい

PHPオンライン編集部

動き出す妖怪展TOKYO
「動き出す妖怪展 TOKYO」展示風景、寺田倉庫 G1ビル、2026年、以下同

江戸の絵師たちが描いた魑魅魍魎が、最新のデジタル技術で現代に蘇る。2026年3月27日から6月28日まで、東京・天王洲で「動き出す妖怪展 TOKYO」が開催中。3DCGや香り、音の演出で妖怪の世界に没入できる体験型ミュージアムとのこと。さっそく「没入」しに行ってみた!

 

江戸の町中に入り込んでいる感覚

動き出す妖怪展 TOKYO
鳥山石燕、葛飾北斎、歌川国芳...いずれも江戸期に活躍した絵師だが、彼らに共通するのは、「妖怪」を描いたこと。2026年3月27日(金)から東京の天王洲にて、「動き出す妖怪展 TOKYO」が開催中だ。

「動き出す」と銘打っているように、本展では絵師の描いた妖怪たちが、3DCGやプロジェクションマッピングなどのデジタル技術で「動く」展覧会となっている。
「本展は没入型のデジタルアートミュージアムです。妖怪がいろんなところに登場しますので、視点を変えながら、妖怪を見つけて楽しんでいただきたい」(東山武明氏/株式会社一旗代表取締役・プロデューサー)とのこと。

部屋に入ると、前面と左右の壁、床一面に映像が映し出され、江戸の瓦屋根の上や海面を妖怪たちが縦横無尽に跋扈している。映像にぐるりと取り囲まれ、妖怪たちと一緒に江戸の町や海の中に一緒に入り込んでいる感覚になる。

館内は部屋ごとに異なるテーマで構成されており、お化け屋敷のような、ちょっと怖い妖怪がいる部屋、魔よけの効果があるという藤の花がアレンジされた幻想的な部屋など、音や香りも演出に生かされ、没入感覚を味わう仕掛けに満ちている。

縁日をテーマにした部屋では、映像に触れると妖怪が変化したり、輪投げや砂遊びなど遊びの要素があり、小さいお子さんも楽しめそう。

土・日と春休み・ゴールデンウィーク期間中には「妖怪グリーティング」と称して妖怪たちが会場を巡回するとのこと。取材時には河童が縁日ゾーンをうろうろしており、「妖怪ちゃぶ台」で遊ぶなどしていた。「一緒に遊ぼう」と誘っているのかもしれない。ありがたいが、ちょっと怖い。

ほかにも何体か遭遇したが、「子供だましの変装」ではないことを申し添えておく。

動き出す妖怪展 TOKYO
妖怪ちゃぶ台。手をかざすと妖怪が変化する

 

妖怪文化とは何か

動き出す妖怪展 TOKYO
会場内を徘徊する絡新婦(じょろうぐも)さんに遭遇

本展では映像作品を楽しめるだけでなく、妖怪が描かれてきた歴史の解説も充実している。

「妖怪というと河童や天狗、ぬらりひょんといった名前がついているものたちを想像されると思うんですが、まだまだそいつらはごく一部であって、絵師が戯れで描いたようなものなど、名前がついていない妖怪も色々いるんです。まさに魑魅魍魎の世界。そんな世界に入り込んでいただくと同時に、絵師たちはなぜ妖怪を描こうと思ったのか。妖怪文化とは何か?といったことを階層的に楽しむことができる作りになっています。だから、個々の妖怪の解説はかえって少ないんですよ」(解説監修:島田尚幸/妖怪文化研究家)

江戸の絵師たちがどんな妖怪を描いてきたのか、その作品とともに体系的に紹介されていて、見ごたえ満点。低い位置には子ども向けの解説パネルもちゃんとある。

 

「あの浮世絵」が躍動するさまを

動き出す妖怪展 TOKYO

「妖怪というと、古臭いものというイメージがあると思うんですけど、妖怪画の歴史を見てみると、西洋から絵の具が入ってきたら使ってみたり、西洋絵画の技法を用いてみたり、実験的に最先端の技術を取り入れているんですよ。だから、妖怪と最先端の技術との親和性は非常に高いと思います。そもそも妖怪は幻想の世界と現実の世界を軽く超越していくものなんです」(島田氏)

映像作品に用いられている妖怪たちは、元の作品の雰囲気がそのまま生かされており、「浮世絵で見たあの絵が躍動している!」とちょっと感動的だ。映像にはストーリー性が感じられるうえ、「この妖怪はかわいい」「こいつは何をしている?」とそれぞれの妖怪をじっくりと鑑賞したくなる。

歴史とアートとエンターテインメントが融合した本展は、江戸にタイムスリップしているようで、異世界に入り込んでいるようでもある。妖怪好きも妖怪に詳しくない方も、大人も子どもも楽しめる、時空を超えた遊園地。時間をたっぷりとって、存分に味わいたい展覧会だ。

動き出す妖怪展 TOKYO ~Imagination of Japan~
2026年3月27日(金)~6月28日(日) 9:30~20:00(最終入場19:30)
※期間中休館日なし
※最終日 6月28日は17:00まで(最終入場16:30) 
【会場】 寺田倉庫 G1ビル (東京都品川区東品川2-6-4)
【チケット】
〈料金〉大人:2,600円、学生(高・大・専門):1,800円、子ども(4歳以上中学生以下):800円、シニア(65歳以上):2,500円
〈障がい者等割引〉大人:1,200円、子ども(4歳以上中学生以下):500円
※3歳以下の入場は無料です。(チケット不要)

https://www.yokaiimmersive.com/tokyo

歴史街道の詳細情報

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